前回は、檜風呂に関連するトピックとして、温泉の定義や効能について取り上げました。今回は、古代から鎌倉時代までの温泉の歴史を記事で紹介します。

 

人類の歴史よりも古い温泉の歴史

温泉の歴史は、かなり古く、人類が誕生する以前の数万年前以上も前から自然に湧き出ていたと言われています。火山と地下の水という、全て自然のものでできている温泉の歴史は相当古いようです。

日本で有名な温泉地「別府温泉」は、5万年も前から沸いていたという研究結果もあります。

 

日本史における温泉のはじまり

では、日本人はいつから温泉を利用していたのでしょうか。

日本における最も古い文献である「古事記」や「日本書記」にも、温泉の記述があります。

それによると、今から約1400年前の奈良時代から温泉が使われていたようです。奈良時代に温泉は「病気や怪我を治す不思議な水」として信仰の対象にもなっていました。

 

日本三古湯

歴史的文献に残っている温泉のうち、もっとも古い温泉を「日本三古湯」と呼びます。

「伊予の湯」=愛媛県・道後温泉

「牟婁の湯」=和歌山県・白浜温泉

「有間の湯」=兵庫県・有馬温泉

この中でも、有馬温泉が一番古く、日本書記に大和朝廷の天皇が入浴されたという記述が残っているそうです。

 

和歌でも詠まれた温泉

「万葉集」や「古今和歌集」など貴族が和歌を楽しむようになった平安時代になると、温泉は和歌のテーマの対象にもなりました。全国各地を旅しながら、温泉の和歌を詠んだそうです。万葉集には神奈川県の湯河原温泉や長野県の上山田温泉など、都から遠い東側の温泉も多く登場しています。

湯河原温泉について詠んだ句をひとつ紹介します。

「足柄の 土肥の河内に 出づる湯の 世にもたよらに 子ろが言わなくに (作者不詳)」

 

温泉で病を治す「湯治文化」

湯治とは、温泉地に一定期間滞在して、病の温泉療養を試みることです。鎌倉時代になると、温泉に医学的な療養効果があると言われ始め、治療に使われることが増えてきました。僧侶が身を清めるために行なっていた「施浴」は、仏教では奨励されていたため、それも湯治を普及させることにつながっていました。

 

タイルがなかった当時は、旅をする詩人も、病気を治療したい人々も、みなさんが檜風呂につかっていたのではないでしょうか。

1400年前は貴重な温泉だった昔も、大衆化した今も、温泉で活躍している檜風呂造りに勤しんでいるのはエステック アソシエイツです。