前回の記事では、青森ヒバについて紹介しましたが、中尊寺金色堂はほとんどが青森ヒバでできている事をご存知でしょうか?

中尊寺金色堂について

中尊寺は、岩手県の平泉町にある寺院です。西暦850年に比叡山延暦寺の高僧慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)によって開かれました。

その後1015年に、平安時代後期の武将で奥州藤原氏初代当主である藤原清衡氏が中尊寺の中興に着手しました。

有名な中尊寺の金色堂は、清衡が自身の廟堂として建立したものです。

内部の須弥壇内には清衡と子の基衡、孫の秀衡の3代の遺体(ミイラ)が安置されています。

奥州藤原氏が滅亡した鎌倉時代以降は、次第に衰退し、1337年の火災で多くの堂塔・宝物を消失しました。

しかし、絵画や彫刻などの文化遺産が現在までに伝えられ、東日本随一の平安仏教美術の宝庫とされています。

2011年には、中尊寺を含む「平泉の文化遺産」が世界文化遺産に登録されました。

 

中尊寺金色堂は青森ヒバ93%

中尊寺金色堂は、全体の約93%が青森ヒバで造られています。

こちらの記事でも紹介した通り、青森ヒバは耐久性が非常に高く、建立から約800年後の1962年に復元修理されたとき、全体の7割以上のヒバ材が再使用可能な状態でした。

耐久性が高い檜や檜葉ですが、青森檜葉以外は主に西日本に生息しています。

中尊寺は、岩手に建立されたため、青森檜葉は入手しやすかったのかもしれません。

 

驚異的な耐久性!青森ヒバ

青森ヒバの耐久性について詳しく説明します。まず、青森ヒバはシロアリに強いと言われています。

これは、青森ヒバに多く含まれる「メタノール可溶成分(アルコールの一種)」によるものとされています。

メタノールを含む普通の青森ヒバとメタノールを抜いた青森ヒバでシロアリの比較実験をしたところ、メタノールを含む方は120時間でシロアリが死滅した一方、メタノールを抜いた方はシロアリが近づき食害されました。

また、湿気に強いという特徴もあります。これは、青森ヒバに多く含まれる、「ヒノキチオール」と「シャメールB」という成分が雑菌やカビの繁殖を抑える効果があるためです。

 

青森ヒバが使われている歴史的建造物

このような耐久性の高い青森ヒバは、他にも様々な歴史的建造物に使われています。

昭和大仏で知られる青森市の「青龍寺」の五重の塔、弘前市百沢の岩木山の南東麓にある「岩木山神社」の楼門、伊勢神宮・内宮の入口の宇治橋等などにも使用されています。神社仏閣以外に、弘前市「最勝院」の大日如来といった仏像にも使用されています。

 

木材の研究所でもあるエステックアソシエイツは、青森ヒバを使用した檜ヒバ風呂やヒノキ風呂も製造しています。

耐久性の高い木材での木風呂作りで、風呂好きの皆様を応援し続けているのです。