中学生棋士の藤井聡太四段が新記録となる29連勝を達成し、羽生善治竜王が前人未踏の永世七冠となった2017年は、将棋ブームに沸いた年でした。さて、藤井四段が連勝記録を作った時に、羽生永世七冠が「檜」にまつわるこんな言葉を投げかけていたのをご存じでしょうか?

「檜舞台で顔を合わせるのを楽しみにしている」

ご承知の通り、「檜舞台」とは、自分の腕前を試すにふさわしい場所、つまり晴れ舞台という意味です。将棋界でいえば、竜王、名人などの八大タイトル戦になりますでしょうか。

ちなみに、羽生永世七冠の呼びかけに対して、藤井四段は「公式戦で勝ち上がって対戦したいです」と意欲を燃やしています。遠くない将来に実現するだろう新旧の天才棋士同士の戦い。それは間違いなく、お互いにとっての「檜舞台」になるのでしょう。

この「檜舞台」という言葉ですが、考えてみれば不思議なものです。そもそも、なぜ「檜」の「舞台」なのか。そして、どうしてこのような意味になったのか。疑問は尽きません。

言葉の歴史をたどっていくと、どうやら江戸時代にいきつくようです。檜は当時から高級な木材として扱われていました。そのため、檜を舞台に使用できたのは、歌舞伎や能など幕府公認の芸能の中でも、一流の劇場に限られていたといいます。

一流劇場の檜舞台。それは役者にとって、これ以上ないほど素晴らしい腕の見せ場だったのでしょう。それが転じて、「檜舞台」は「自分の腕前を試すのにふさわしい場所」という意味になり、今でも「全国大会という檜舞台に立つ」といったように、晴れ舞台を指すというわけです。

ちなみに、演劇評論家の宮辻政夫さんが以前、毎日新聞のコラムで書いていましたが、檜舞台の厚さは1寸5分(約五センチ)となかなかのもの。役者が走り回る舞台は消耗品で、定期的な張り替えが必要になるといいます。

京都の南座も舞台の全面張り替えをし、2014年には「新檜舞台開き」が行われ、松本幸四郎も登場しました。南座の張り替えに使われたのは、伊勢神宮の式年遷宮でも使われた由緒ある高級檜でした。節が少なく、ツヤがあり、木目は鮮やかで香りも豊かと評判で、防虫効果まであるというから驚きです。

檜は日本の伝統文化です。それは日常生活の言葉にも古典芸能の中にも、今なおしっかりと根付いています。エステックアソシエイツの檜風呂もまた、日本の伝統文化を皆様にお伝えできる品質をお約束しております。