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三重県伊勢市にある神社「伊勢神宮」。観光地としても多くの人々が訪れており、2016年には伊勢志摩サミットでG7首脳が参拝をしたことも話題になりました。

そんな伊勢神宮ですが、実は、檜(ヒノキ)で造られています。さらに、20年に一度の建て替えが繰り返されているという独自の文化もあります。この記事では、伊勢神宮と檜の関係性・歴史を紐解きます。

 

伊勢神宮の起源

伊勢神宮の起源は、約2,000年前。倭姫命(やまとひめのみこと)が天照大神(あまてらすおおみかみ)の御杖代(神や天皇の杖代わりとなって奉仕すること)で、大和から伊勢にたどり着いた際に、五十鈴川の川上にお宮を建てました。それが、伊勢神宮正宮の内宮である「皇大神宮」です。

ちなみに、倭姫命は邪馬台国の卑弥呼だという説もあるそうです。

その約500年後に、天照大神の食事を司る神を祀ったのが、伊勢神宮正宮の外宮「豊受大神宮」です。伊勢神宮は、「皇大神宮」と「豊受大神宮」を含む、全部で125社で構成されています。

 

伊勢神宮の建築様式

伊勢神宮の建築様式は、「唯一神明造(ゆいいつしんめいつくり)」です。

神明造は、もっとも古い神社建築様式です。奥行きよりも幅が広い造りになっており、高床式の穀倉の形式から、宮殿形式に発展したものです。なお、伊勢神宮の様式は他社において全く同じものは採用されていないため、「唯一神明造」と呼ばれています。

唯一神明造の特徴のひとつとして、檜の素木(しらき)造りであることがあります。素木とは、着色などをしていない木のことです。唯一神明造は、檜の自然の美しさを生かした建築様式と言えます。

 

20年に一度建て替えられる伊勢神宮

伊勢神宮には、他社にはない独特の行事があります。

それが、20年に一度の建て替え(遷宮)です。遷宮を始めたのは、約1,300年前の天武天皇。

遷宮の時には、社殿や神宝類、ご装束類のすべてを一新して大御神のお遷りを仰ぐ式年遷宮が行われています。20年という周期については、伊勢神宮がもともと穀倉の建築様式だったことに由来すると考えられます。

穀物倉庫は、雨などで萱の屋根が重くなるため、柱を直埋めしていました。萱の屋根や直埋めした部分の腐敗により20〜30年に一度建て替える必要がありました。その名残が、今も伊勢神宮の20年毎の遷宮に繋がっているのでしょう。

1,300年も前から継承されてきた遷宮は、現在では伝統文化や職人技術の継承という意味でも貢献しています。

 

遷宮の伝統を継承していくために

遷宮のためには、約1万本もの檜の木が必要となります。

遷宮当初約600年間は、遷宮に用いられる檜は伊勢の神路山で伐採されていましたが、室町時代以降は、良質木材の不足から、木曽檜が用いられています。

また、伊勢神宮の敷地内にも5,500ヘクタールもの檜の森があり、最終的には全ての用材を敷地内でまかなうことを目指しています。

前回の遷宮は、2013年。約550億円もの費用をかけて行われました。

そして、次回は、2033年です。遷宮に向けた準備は、8年かけて行われるので、2025年から本格的な伐採が始まります。2017年10月には、2025年の本格伐採に向けた最初の「斧入式」が長野県上松町で行われました。

 

檜風呂メーカーであるエステックアソシエイツとしては、檜建築文化の継承に寄与している伊勢神宮の遷宮に今後とも注目して参ります。