仁和寺(にんなじ)は、京都市右京区にある仏教寺院です。1994年に、「古都京都の文化財」として世界遺産に登録されました。
仁和寺の歴史
仁和寺が創建されたのは、平安時代初期のことです。886年に、光孝天皇の勅願で建て始められ、888年に完成しました。仁和寺の由来は、888年の年号「仁和」から来ています。
その後、皇族出身者が代々住職を平安から鎌倉にかけて、門跡寺院として最高格式となりましたが、室町時代の応仁の乱で伽藍(がらん)が全焼し、仁和寺は衰退していきました。
江戸時代になると、徳川幕府が伽藍の整備に動き出します。1646年に伽藍の再建が完了し、仁和寺は創建時の姿に戻りました。
昭和時代に、真言宗御室派の総本山となり、1994年にユネスコの世界遺産に登録されました。
仁和寺の建物と檜皮葺の紹介
仁和寺の境内には、国宝や重要文化財に指定されている建物が多くあります。代表的なものを紹介します。
金堂(国宝):京都御所の紫宸殿(ししんでん)を移築した建物です。元々は宮殿でしたが、移築とともに仏堂になりました。
五重塔(重要文化財):和風建築で、高さ36.18メートルあります。東寺の五重塔とともに寛永年間を代表する塔となっています。
観音堂(重要文化財):内部は非公開ですが、極彩色で描かれた白衣観音などがあります。
御影堂(重要文化財):約10メートル四方の小堂です。御所清涼殿の一部を賜って創建されました・
中門(重要文化財)五重塔や観音堂に向かう入り口になっている門です。
二王門(重要文化財):仁和寺の正面に建つ、高さ18.7メートルの巨大な門です。
鐘楼(重要文化財):建物下部の袴のような板張りの覆いが特徴。外から鐘は見えないようになっています。
経蔵(重要文化財):禅宗様で統一された建物。内部には、八角輪蔵があります。
金堂は、宮殿の時は檜皮葺でしたが、移築とともに瓦葺に変えられました。また、御影堂は檜皮葺の宝形造(ほうぎょうづくり)で建てられています。宝形造とは、屋根の一形式で、隅棟が中央の一点に集まり、水平の棟作らないものです。平面が正方形であれば、四枚の三角形の屋根で構成されます。
桜の名勝としての仁和寺
仁和寺の境内には、御室桜(おむろざくら)という遅咲きで有名な桜の林があり、江戸時代から、庶民の間で親しまれ、多くの和歌でも詠まれ、1924年、国の名勝に指定されました。
春の仁和寺では、国宝や重要文化財を背景にした桜も楽しめることでしょう。