正倉院とは

正倉院は、奈良県奈良市の東大寺大仏殿にある高床式倉庫です。正倉院内部には、天平時代の美術工芸品、中国やペルシャからの輸入品、奈良時代の日本の記録が残る正倉院文書、など多数の貴重な宝物が残っています。

1997年に国宝に指定され、1998年にはユネスコの文化遺産に登録されました。

 

「正倉院」の由来

正倉院は、もともとは固有名詞ではなく一般名詞でした。「正倉」というのは、「正税を収める倉」の略です。正税とは、律令制の下各地から上納された米殼や調布のことを指します。正倉のある一画を塀で囲ったものを「正倉院」と呼んだそうです。当時は、複数の正倉院が存在していましたが、歳月とともに廃絶し、東大寺内一棟だけが残ったため、その後は固有名詞として、東大寺内の正倉院を「正倉院」と呼ぶようになりました。

 

正倉院の歴史

正倉院はもともと税として納められた米殼などを置いておく場所という風に説明しましたが、様々な宝物が置かれるようになったのはなぜでしょうか。正倉院の宝物は、聖武天皇の没後四九日の法要の後、妻であった光明皇后が天皇の愛用品を東大寺に収め仏に捧げよう、と考えて愛用品を収めはじめたのが始まりと言われています。東大寺はもともと、聖武天皇が争いや疫病の多い荒れた世の中を仏教の力でおさめようとして東大寺と大仏を建てたためです。その後、聖武天皇の愛用品のみならず、奈良時代を代表とする宝が収められるようになりました。

 

檜に守られた正倉院

正倉院に保管された宝物は、繊細な細工や鮮やかな色もそのままに残っており、これほど優秀な倉庫は世界にもあまりないということで「世界の宝庫」と呼ばれています。

正倉院の保存機能の高さの秘密は、校倉(あぜくら)づくりという建築様式にあります。校倉づくりとは、柱を用いず断面が三角形になった木材を井の字の形に積み上げていくものです。

正倉院の校倉づくりには、檜が使用されています。檜には、調湿作用があり、内部の宝物を湿度の変化から守っています。

東大寺正倉院は、創建以来多くの危機を乗り越えてきました。1180年の平重衡の奈良焼き、1567年の三好,松永合戦の兵火による大仏殿炎上, 1254年の北倉への落雷などの火災や自然災害もありましたが、檜による丈夫な建築によってここまで守られてきました。

「世界の宝庫」と呼ばれる所以は、檜にもあったのです。

エステック アソシエイツの檜風呂は正倉院に学び、研究し、目標にし続けています。